ずっと会いたかった『ルリビタキ』にやっと会うことができました。
私はルリビタキを昨年の冬から探していて、野鳥の本を読み、いそうな場所を何ヶ所も探したのですが出会うことができていませんでした。
今回やっと憧れていたルリビタキに会うことが出来たので、私にとって記念すべきこの日を『ドキュメンタリー』として書き残しておきます。
※ここから長々とこの日の日記が続きます。α7RⅤやFE 300mm F2.8 GMで撮ったルリビタキの写真だけ見たい方は目次から『ついでによった公園C』へ飛んでください。
ルリビタキ
『ルリビタキ』を知らない人のために簡単に。
全長14cm。
オスの成鳥は体上面が青色、側面は黄色の羽毛で覆われる美しい野鳥。
冬は本州中部以南の公園や林などで越冬し、ジョウビタキよりもやや暗い所を好む。
幼鳥時のオスはメスと似たオリーブ色の羽色をしており、十分青くなるには3年かかると言われている。
バードウォッチャーが愛する人気の冬鳥で、私はなかなか会えませんでしたが割と身近な鳥みたいです。ネットで検索すると見事な写真で溢れています。
『ルリビタキに会えた日』
前日に子供から「ぜひ一緒に行きたい!」との申し出がある。
6:30分 起床。
子供は起きれないだろうから一人で行くつもだったが、なんと起きていたので同行決定。
なお、「野鳥は大きな声を出すと逃げるかもしれないこと」、「ガチで撮ってる人もいるかもしれないからお互いになるべく静かに行動する事」を再確認する。(トラブル回避のため)
※この日、他の野鳥撮影者の方はいませんでした。
初めて訪れる海と木々が隣接する『公園A』
7:45分『公園A』到着。野鳥の気配ほぼ無し。
談笑しながらしばらく歩く。海に出ると『カモメ』や『ミサゴ』発見。遠かったので撮れなかったがミサゴの登場にふたりで盛り上がる。相変わらず鳥の気配薄い。
8:47分
やっと野鳥登場。『シロハラ』と出会う。少し鳥の気配が濃くなる。
8:57分
海岸近くの林で鳥が飛び去るのを確認。静かに追うと『イソヒヨドリ』のメス発見。少しテンションが上がる。
鳥の気配が濃くなったような気がしたのは勘違いで、その後30分ほどぶらぶらと歩く。
9:34分
『シロハラ』再び。
最初出会ったシロハラとは全く別の場所なので別個体だと思われる。
SS1/1250秒なのは「もしかしたら飛翔写真が撮れるかも?」という中途半端な下心の現れ。当然撮れず。
10:03分 冬のアイドル登場
鳥があまりいないので公園Aに見切りをつけ次の場所へ向かう途中、突然目の前に『ジョウビタキ』のオスが飛んできた。
いきなりのアイドル登場に大いに興奮する。
近い距離でしばらくサービスしてくれたため、あまりの可愛さに子供と二人、デレる。
10:07分
『ヒヨドリ』もサービスサービス♪
『公園A』は初めての場所だったので散歩としては楽しかったものの、野鳥の少なさとルリビタキが見れなかったこととで物足りなさを感じていた。しかし突然のジョウビタキ登場で気分は上々。
その後車内にて家から持ってきたパンをかじり次の場所へ。
マイフィールド『公園B』
次に向かったのは『公園B』。ここは私が野鳥撮影のためによく通っている公園。
基本的に誰もいないためゆっくり野鳥撮影を楽しめる。
※なお見出しに使った「マイフィールド」という言葉ですが、『私の場所!』という意味ではなく、『よく通う場所』という意味で使いました。「ちょっと待てよ!そこ公園だろ!お前の場所じゃないよな!?」と思われた方、おっしゃる通りでございます。公園はみんなが楽しく過ごすための場所です。誤解を招きかねない表現をしてしまったこと、謝罪します。ごめんなさい。
10:50分『公園B』到着
11:05分
木の実にメジロの大群襲来。
こんなにたくさんのメジロを見たことないだろうから喜んでいるだろうと子供に聞いてみると、
「パパは喜んでるけど正直言ってメジロって目がこわいからあんまり好きじゃない・・・」との衝撃の告白。
「・・そうなんだ〜」と返す。その後、
この写真を見て二人で爆笑。
ひと笑いした後、
「・・・なんかすごいんだけどパパのこの大きいレンズっていくらすると?」
との質問に冷や汗。
ゴニョゴニョとお茶を濁す。
11:10分
すかさず目の前に『ジョウビタキ』参上。
「カッカッ」という火打ち石のような鳴き声を存分に披露してくれた。子供と二人静かに、そして大いに興奮する。
子供もすっかりジョウビタキのことが好きになったようだ。
ちなみにこのジョウビタキはこの場所に行くといつも顔を見せてくれる、俺の親友です。
ジョウビタキには会えたがルリビタキの気配はなし。親友に別れを告げ次の場所へ。
ついでによった『公園C』
お昼近かったので帰宅するつもりだったが、私はまだルリビタキへの未練が残っていた。
帰り道の途中にある公園に寄りたいことを子供に相談。「まあいいよ」との了解を得る。
11:30分 『公園C』到着。公園Cは山の中腹にある整備された公園。
正直言ってこの場所に期待しておらず、ルリビタキはいないだろうと思っていたので今まで探鳥にきたことはなかった。
子供は「なんかもういいかな」とのことだったので、Switchをしながら車内で待つことに。
一人で探鳥に向かう。
11:34分
まさかの『イソヒヨドリ』登場。
海からすごく遠いわけではないが山の中にある公園だったので意外だった。
11:37分
その瞬間はいつも突然訪れる。いた。ルリビタキだ。
鮮やかな青色。オスだ。
本には鮮やかな色をしているが意外に見つけにくいと書いてあったので、いたとしても見つけられるか不安だったが見た瞬間すぐにわかった。
これが私にとってのルリビタキファーストショット。まだ距離は遠く曇天で薄暗いこともあって画質は良くない。これでは満足できない。枝も丸かぶりだ。
ルリビタキが逃げないことを祈りつつ中腰になり少しずつ近づくことにした。
するとルリビタキもこちらに少しずつ近づいてきた。ジョウビタキよりも警戒心は強いと思っていたので驚いた。
ルリビタキまでの距離が遠いため、α7RⅤをAPS-Cクロップモードに設定した。換算焦点距離900mmでこのくらいの距離。もっと近づきたい。
FE 300mm F2.8 GMは非常に高い性能を持つレンズなのでこの距離感でISO2500だったらもっと解像度の高い写真が撮れることも多い。しかしこの日の天気は曇り。しかもルリビタキのいる場所は薄暗かったためディテールは潰れている。
なんとルリビタキの方からもっと近づいてきた。
人慣れしているのかルリビタキという鳥自体がそういう性格なのかはわからないが、この個体はそれほど警戒心が高くないみたいだ。
少し明るくなってきて解像感も良い感じ。バッチリとは言えないが個人的にこれくらいで撮れれば良いかな。
ただ枝だらけなので背景がゴチャゴチャ。もう少しひらけたとこに行ってくれないかなと思っていると・・・。
まるでこちらの期待に応えるように枝の先端に飛び移った。まだ距離があるため、毛並みまでくっきり解像しているわけではないが初めてルリビタキに出会った私としてはもう十分満足。
この写真を背面液晶で確認した時、とりあえずそれなりに撮れたことに初めてホッとした。
ルリビタキはその場所から動かない。こっちを見たりペリットを出したりしてリラックスしているように見えた。
しばらくしてるうちに雲の隙間から日が射してきた。
ここであることに気づく。ルリビタキの足元が手前の枝で隠れているのだ。
やはり興奮していたのだろう、気づかなかった。こちらが動くと逃げていきそうなのでこれ以上動きたくない。
「もうちょと。もうちょっと・・」贅沢すぎる思いがつい口に出る。
せめてもっと解像させようとシャッタースピードを落としてみた。SS1/250だ。
何枚か撮って確認してみたが若干モヤっとしている。SONYのカメラ機材はとても高性能で不満は少ないのだが、手ぶれ補正がすごく効く感覚はなく、画像に微ブレがあるようだ。
超高画素カメラと超望遠レンズの組み合わせなので厳しい条件だし、さらに手持ち撮影なので当然と言えば当然だ。何より手ブレを抑えられない自分の腕のなさが悔しい。SS1/250は諦める。
その時
なんとさらなる枝先へ飛び移ってくれた。ルリビタキの美しい姿を遮るものはもう何もない。
さらに太陽が雲の切れ間から顔を出し、木漏れ日が綺麗に降り注ぐ。
RAW現像はしているがトリミングはしなくていい。APS-Cクロップして撮った構図そのままで完成だ。
これが今回のベストショット。今までの苦労が報われた瞬間だ。
拡大して確認しても良く解像している。
こんなんじゃダメだという人も沢山いると思うがそれはそれでいい。個人的にこれ以上は求めない。十分だ。
初めてのルリビタキとの出会いだったが、幕開けにしていきなりクライマックスと思える写真が撮れた。ルリビタキへの想いや苦労を含め、自分の中では初めて『作品』と言っていいのかもしれない。
今後これ以上のものを撮ることができるか少し不安だが、ルリビタキは縄張りを作り、その中で同じ個体が行動することが多く、また会える可能性はある。
そして何より警戒心が低くフレンドリーな奴だったので、再びチャンスがあるかもしれない。
そんなことを考えながら急いで車に戻り、子供と再びルリビタキのもとへ。
ルリビタキはまだその場所にいて、観察している私たちのもとに飛び移り、その美しい姿をもっと近くで見せてくれた。美しかった。
「ルリビタキなんかで大袈裟な」と、人は笑うかもしれない。それで別に構わない。しかし私にとっては奇跡的にも思える1日となった。
すでに太陽は雲に隠れており、ルリビタキは茂みの中だったので写真は撮れなかったが、憧れていたルリビタキを我が子と一緒に見ることができたこの日を、もしかしたら私は死ぬまで忘れないのかもしれない。
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